2022年5月3日火曜日

医師との会話で大切なことを教えます

 

医者と話をするのは緊張する、何を聞いたらいいか分からない、という声をよく聞きます。間違ったことは聞いちゃいけない、素人が勝手な判断はしてはいけない、というプレッシャーもあるかもしれなません。

医者も人間なので、疲れている時も機嫌が良くないこともあります。でも基本的に目の前の患者の訴えはきちんと聞こうと思っているので、会話の冒頭から患者さんやご家族のお話を否定することはないと思います。今一番つらいことは何か、いつから症状があるのか、を順序立てて話をすればそれまで経過が整理され、診断につながりやすく、治療方針がたてやすくなります。

注意して頂きたいことは、「とりあえず薬だけ出してもらえれば」とか「明日仕事(学校)に行けないと困るので」など、自分の中の結論が先にありそれに沿った治療や検査・投薬などを要求すること。私自身も「なぜこの人(患者)は病院に来たのか」という理由付けを大事にする方なので、「これだけのことをやってもらえればいい」というスタンスで来られるとさすがにカチンときます。

逆に、「こんなことを聞いたらいけないかもしれないんですけど・・・」と前置きをされてから質問をされることは、たとえ本筋と若干はずれる内容であってもあまり腹は立ちません。そういう質問の多くは、患者さんご自身が自分なりの解釈で現在の症状と理解可能な病名・病態を漠然と結びつけてしまっていることからくることが原因だからです。

医療者ではない一般の方は、一般的に様々な症状を一つの病名に結びつけがちです(分かりやすい方に思考が向いてしまうのは仕方ありません)。

身体に起こっている様々な現象をすべて一瞬で説明できるほど人間の身体は単純じゃありませんし、それを解決できるほど医者の頭は優秀ではないと思っています。


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