2022年4月30日土曜日

外科医が年をとると


 40代後半になり自分の体の変化で感じること。まずは体力が落ちました。

 

当直明けのしんどさが堪える、

エナジードリンクに手を出して束の間のハイな気分で乗り切ろうとする、

細い糸が見にくい、

無影灯が暗いときは余計に感じる。

 

でも幸いまだ手が震えないから外科医は続けていられそうです。

若い時の体力はないが、休息の仕方は上手になる。

椅子の背にもたれたまま仮眠ができると一時復活。これは明らかに若いときより上手になりました。

 

患者の状態変化の予測がある程度できるようになって、想定外の事態は減る。

それでも振り回されることがなくならないあたりが医療の難しいところ(自分の能力のせいか・・・)。

 

でも臨床への熱意が衰えないうちは外科医は続けたいと思っています。

2022年4月27日水曜日

理解できない相手と


どうしても考えや行動が理解できない人はかならず周りにいます。

 

なぜそこでそんなことを言う?

なぜそういう振る舞いをする? 

 

などなど。

 

ほとんどは自分の期待通りの行動ではないことに起因していると思いますが、やはり理解不能は人との関係はストレスですよね。

 

その人の背景やこれまでの言動からそうなるだろうなあ、という想像がつけばまだいいのですが、時にはそれすらも理解できない人も。

 

一生懸命その人を理解しようとしても、その人となりが把握できなければもはや相手はモンスター。そもそも自分の定規で相手を測ること自体が間違いなのかもしれません。同じ言語でしゃべっていても、まったく相手に意図が伝わらない時も同じ感覚に陥ります。

 

そんなときは潔く諦める。同じ日本語をしゃべっていても理解し合えない相手がいる、と理解するのに40年近くを費やしてしまった、と最近思っています。

2022年4月23日土曜日

病院の理念と方向性

病院はその規模・設立母体にかかわらずにかかわらず、地域の公共財だと思います。診療を効率よく行い、収益を上げていくことは病院が運営されていくために最低限必要なことですが、もっと大事なことはその地域でどのような医療需要があり、病院としてどのようにそれに応えていくのか、周囲の医療機関と時には差別化を図ったり、別の場面では協調性をもって診療を行っていくかをつねに考えること、そして現場で働くスタッフと共有していけるあだと思っています。

目先の利益(民間病院であれば売上・業績はもちろん大切)だけでなく、5年後・10年後にこの病院がどうあるべきか、それに向けてどういったロードマップを描いていくか、予測が難しい社会情勢の中でもぶれない一本の芯をつくり、前に進めていく必要があります。

経営者・指導者はそこから目を背けることなく、日々診療にいそしむスタッフを叱咤激励し、遠くて高い目標に向かって歩ませていく力量が求められています。

病院の経営者・病院長・設置者にはそのような気概と先を見通す視野を持っていただきたいと現場ではいつも思っています。

2022年4月20日水曜日

自分のことしか考えていない医者

 

自分の手術が全て、売上が全て、という医者がどこの病院にもいます。うまくいかないのは周りのせい、自分はこれだけ患者・病院に尽くしているのに、自分に従わないのは許せない、との論法。自分のしていることに一寸の間違いも混ざっていないという過剰な意識。多くがパワハラの発生につながり、本人に自覚がないことがほとんどです。

医師の仕事なんて、一人でできるわけがないので、上記の考えを持つ医者のことは理解できないし、なるべく近寄らないことにしています。幸い直属の上司にそのような人がいなかったことは自分の医師生活の中ではラッキーでした。

一昔前にはこんなタイプの外科系医師が多かった?と聞いたこともありますが、もはやそんな時代ではないですよね。

世の中からそのような医師が排除されていくことを期待しています。


2022年4月16日土曜日

当直業務


 医者になってかれこれ20年以上、へき地の無床診療所に派遣されていた2年間を除き、月2回以上の当直業務がずっとありました。30歳代前半までは多いときで月89回、いまでも月34回は当直Dutyあり。

医療者以外の方には「病院に泊まって大変ですね。」「眠れないんですか?」とよく言われますが、もはやルーチンワーク化していて大変かどうかは自分ではよく分かりません。確かにほとんど眠れない日もあるし、45時間まとめて眠れても自宅での睡眠とは違って眠りは浅いから、翌日は確かにしんどい。それも歳をとって当直明けのリカバリーにも時間がかかっているのも事実です。

でも今では駆け出しの頃にあった「こんな患者が来たらどうしよう」とか、「どのタイミングで上司に電話しよう」といった緊張感もなく、自分の診療の力量と施設のキャパシティー(ベッド状況と施設の診療内容の両方を指す)に応じた対応をすれば良い、と割り切っているし、今の職場での当直業務にもなれてきたので以前ほどの疲労感はないのかもしれません。

まあこれからいつまで続けられるか分からないけど、今すぐやめたいと思っているわけではないのも事実かも。

2022年4月13日水曜日

医師に対する評価


医師は様々な方法で様々な角度から評価を受けています。患者さんやその家族はもちろん、コメディカルスタッフ、雇用主である経営者、同僚・上司(指導医)・部下である医師など。その評価はかならずしもすべて一致するわけではなく、「あの先生は患者さんの受けはいいのに、看護師には嫌われている」とか、「あの先生は経営者からは高評価なのに、現場スタッフには不人気」などなど。

そもそも人が人を評価するなんて、判定基準やチェックリストがあるわけでもなく、すべて一致するわけはないのだけれど、そうはいっても病院という閉鎖空間では、その人の仕事や人物評価の総体が職場の雰囲気につながるの、で決して安易に考えることはできません。

一般的な医師の評価で最も信用があると思われるのは、一緒に働く看護師の評価だと思っています。看護師は現在でも施設よって違いがあるとはいえ、8割前後は女性職員。女性だからということではないが、医師の指示の下に様々な業務を行う看護師の医師に対する評価は個々でみれば「個人の好き嫌い」にかなり依存することは否定しません。ただそれらの評価が複数積み上がると、個人の評価が全体評価にかなり近似してくることをよく経験します。つまり一部の看護師に評価が高い医師がいても、同じ医師に対する他の大半の看護師の評価が低ければ、後者の評価はかなり信頼性が高いと言って良い、ということです。ただその逆(大半の看護師評価が高い医師が一部の看護師に不評)という場合は、低い評価に引っ張られることもあり得るので注意が必要という側面もあります。

一方で、患者さんからの医師の評価は高い評価と低い評価に極端にぶれやすく、一般的には治療の経過が良好であれば高評価になりやすく、経過が思わしくない場合には低評価になりがちです。医師をしている以上、すべての患者さんに良好な結果を与えられるとは限らないため(私失敗しないので。。。という医者は世の中どこを見渡しても存在しない)、経過が良くないときにどのような対応をし、説明や治療を行うかが問われているということです。

2022年4月9日土曜日

がんと告知されたら

 今や3人に1人が悪性腫瘍で亡くなる時代です。もしがんにかかっても完治し、心筋梗塞で亡くなったら死因は「心疾患」で統計処理されますから、「がん」に罹患する人はもっと多くなるはず。「がん」はもはやみなさんのすぐそばにある身近な病気です。

 

私が医師になった頃はまだ患者さんご本人へは「
がん」の告知は憚られる風潮が少し残っていたような気がします。たとえ根治手術が可能な病態・進行度でも、一度ご家族に話をして了解を得てから本人へ告知し、治療内容を説明するといった具合に。

 

がんの告知について記載するにあたっては、患者さんの背景・病態・癌の特性など、ありとあらゆる要素が複雑に絡み合うので、一律にこうすべき、ああすべきということは出来ません。ただがん治療を行っていく上で、患者さんご自身が病名・病状の理解をしていることは大前提であるので、基本的にそれらを伏せられたまま治療を行うことはあり得ません。たとえ治療を行うことで得られるメリットが少なく、鎮痛剤投与などの対症療法(Best Supportive Care)にらざるをえなかったとしても、患者さんご自身が病態を理解していることが望ましいと思います。

 

私が担当する消化器外科領域の悪性腫瘍では、その多くが手術により根治を目指すことが可能です。なかには切除不能と判断され、化学療法から治療がはじまったり、症状緩和・対症療法へ移行する方もいますが、初診の段階で全く治療の手立てがないという症例は少ないです。ですので、きちんと現状をお話しし、治療の内容・効果の見通し・メリット/デメリットも全てお話ししてから治療を始めています。

2022年4月7日木曜日

不平・不満ばかりのひと

現状に不平が多く、周囲に不満ばかりぶつける人、多いですね。そういう人のほとんどが自分で問題を解決できない人です。能力がないことはもちろん、その方法も努力も持ち得ない人。すべての問題や課題を自分で解決はできないし、周囲に不満を聞いてもらって解決につながることはあっても、多くの不平・不満は愚痴で終わることが多く、他の人やシステムの不備をあげるだけで建設的な解決策は出てこない。

指導医はそういった意見を聞きながら、問題の本質を捉える必要があります。ただ愚痴を聞いてもらいたいだけ、という人と建設的な意見を持ち合わせている人の発言を見極めないといけないですが、これがとても難しい(泣)。

ただ一ついえることは、一方的に片方を悪者にするだけでは問題の解決にも、不平・不満の解消にもならないことは確かだと思っています。

2022年4月3日日曜日

つらい時ほど笑顔で

 

だれでもつらい時、しんどい時はあります。イライラもするし、むかつきます。でも心の中はどうであれ、無理矢理でも笑顔にしておく方が結果的には周りも自分も気分が良くなることにある時気がつきました。もちろん患者さんはこちらの気分や精神状態なんて全く関係なく診察を受けているわけで、不機嫌さや疲労感ありありの医者になんて診てもらいたくないでしょう。

疲れていてもむりくり笑顔、心配事があっても明るく、をモットーに今日も頑張ります。まあ、そうはいっても難しいこともあるんですけどね。。。

2022年4月2日土曜日

病院で働くということ

病院で働くということは、医師であればその組織の一員として職業の特性を生かして診療報酬を生み出す診療を行うことです。そして多くのスタッフとともに組織のなかで患者様の診療を行うという同じ目的を持って働くということになります。

多職種が働く病院という組織は業務集約型の事業形態ですが、売上の大半を医師が生み出しているという現実は医師が他のすべての職種の上に立っているという医師側の勝手な誤解を生みがちです。もちろん医師が各セクションのユニットリーダー的な立場であることは事実。でもすべて自分の思い通りにしなければ気に入らない、うまくかない場合は他人に責任をなすりつけるといった輩がいる残念な現実も。そうはなりたくないとずっと思っていました。

一緒に働くスタッフとともに同じ視線で診療を続けていくことが、結果的には患者様のメリットにつながっていくことだと信じていますし、それができるように努力しています。願わくは、売上だけで周りのスタッフのことを考えない医師よりも、きちんと組織の中で評価されている人間が経営陣からも正当な評価を受けられる病院で働きたいものです。


医師のキャリア形成

  医師は医学部を卒業して国家試験に合格し、臨床研修医になった瞬間から医師としてのキャリア形成が始まります。ここでいうキャリアとは臨床として経験を積んでいくことを指し、研究・学位取得などのアカデミックキャリアのことではありません。 まず医師になって 5 年間は通常研修医・専攻...