今や3人に1人が悪性腫瘍で亡くなる時代です。もしがんにかかっても完治し、心筋梗塞で亡くなったら死因は「心疾患」で統計処理されますから、「がん」に罹患する人はもっと多くなるはず。「がん」はもはやみなさんのすぐそばにある身近な病気です。
私が医師になった頃はまだ患者さんご本人へは「
がん」の告知は憚られる風潮が少し残っていたような気がします。たとえ根治手術が可能な病態・進行度でも、一度ご家族に話をして了解を得てから本人へ告知し、治療内容を説明するといった具合に。
がんの告知について記載するにあたっては、患者さんの背景・病態・癌の特性など、ありとあらゆる要素が複雑に絡み合うので、一律にこうすべき、ああすべきということは出来ません。ただがん治療を行っていく上で、患者さんご自身が病名・病状の理解をしていることは大前提であるので、基本的にそれらを伏せられたまま治療を行うことはあり得ません。たとえ治療を行うことで得られるメリットが少なく、鎮痛剤投与などの対症療法(Best Supportive Care)にらざるをえなかったとしても、患者さんご自身が病態を理解していることが望ましいと思います。
私が担当する消化器外科領域の悪性腫瘍では、その多くが手術により根治を目指すことが可能です。なかには切除不能と判断され、化学療法から治療がはじまったり、症状緩和・対症療法へ移行する方もいますが、初診の段階で全く治療の手立てがないという症例は少ないです。ですので、きちんと現状をお話しし、治療の内容・効果の見通し・メリット/デメリットも全てお話ししてから治療を始めています。
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