医師は医学部を卒業して国家試験に合格し、臨床研修医になった瞬間から医師としてのキャリア形成が始まります。ここでいうキャリアとは臨床として経験を積んでいくことを指し、研究・学位取得などのアカデミックキャリアのことではありません。
まず医師になって5年間は通常研修医・専攻医として臨床医としての研鑽を積むことになります。ここで大事なことはたくさんの症例を診て臨床感覚を鋭くしていくこと。通常は何にもできない新人バイトみたいな立場で病棟に置かれるので、指導医や先輩看護師、時には事務スタッフなどに求められることをひたすらこなすことで、徐々にできることが増えていく時期です。時には自分の担当患者以外の症例にも興味を持って、他の担当医のやり方や、時には失敗事例を自分に置き換えて疑似体験をすることも必要です。
いろいろとできることが増えていくと、自分が日々診療をしていく中で「これは楽しいぞ」と思うことが自然と出てきます。それが将来的な自分の専門性につながればいいし、そうでなくても自分の得意領域が見えてくる瞬間でもあり、同時に仕事のやりがいにもつながっていきます。